大切なうつわ、ながく使える「金継ぎ」と「漆」について
- 2018.05.13
- 和文化・手作りの楽しみ
今日は全国的に雨模様だったようで。
こんな日には「漆」のしごとがはかどります。
きいたことあるけど何かよくわからない
という方も多いかもしれない「漆」についてと
漆を使った伝統的な修復方法「金継ぎ」についてお話しますよ。
漆ってなんだ?
漆(うるし)とは、漆の木からとれた樹液を加工した塗料のこと。
ウルシオールという主成分のほか、湿度で固まるラッカーゼという酵素など
他の植物にはない成分が沢山含まれています。
雨の日には漆のしごとがはかどる、というのは、湿度がないと漆は固まらないから。
湿度が高く、漆の木が生えるアジア圏で昔から使われてきました。
お椀やお盆などの食器、家具、楽器などの、表面加工に使われるほか、
接着剤としても、江戸時代を中心に積極的に使われてきました。
今ではプラスチックなど化学的な樹脂にとってかわられる場面も多いですが
縄文時代から使われている漆は、人体に最も安全な塗料のひとつといわれています。
金継ぎってなんだ?
金継ぎとは、漆を使って、陶器が割れた場合などに接着し、更にそこに金粉などを撒いて、装飾する技法。
割れ目を隠すのではなく、装飾にして、割れる前とはまた違った美しさを生み出す…
直して使い続けることで更に愛着がわく、なんとも粋な技法なのです。
金継ぎをやってみよう
わざどころPONに来られるお客様にも、金継ぎをやってみたい!という方が多く、先日、金継ぎ教室を開催しました。
みなさんそれぞれ、直したいお気に入りのうつわを持って集合!
大雑把に説明すると
1,漆で割れた部分を充填したり接着したりする 2,接着面を綺麗にして、表面に漆を塗る 3,金粉や銀粉を撒く
という流れで、行います。
ただ、漆が固まるのに要する時間は1日〜2週間ほど!
固まってから次の作業となるので、完成するには何日もかかります。
そもそも、木の樹液だから、採取できる量も、1年でほんのわずか。
気の長い作業です。だから漆の製品って高価になるのです。
この日は、接着に使う「麦漆」(小麦粉に漆を混ぜたもの)や、充填に使う「こくそ」(麦漆に木粉を混ぜたもの)などを作り、修復していきました。
まだまだ先は長いですが、ゆっくり流れる自然の時間にあわせる、というのは、なんとも贅沢な、楽しい時間です。
新うるし(カシュー)でお手軽金継ぎ
そんなに時間もお金もかけてられないわ…って方には
漆に似た合成塗料「カシュー」(新うるしともいう)で加工する方法もあります。
この方法では
1,二種混合エポキシ樹脂で割れ目を接着 2,新うるしで割れ目の樹脂の上を塗る 3,真鍮粉(金粉より安価)を撒く
という流れで行います。
この方法ですと、1日で仕上がります!
教室でも、1日でこの通り。
美しく仕上がりました。
教室やってるよ!
このブログでは、ほんの概要しか紹介しておりません。
直したいうつわの状態にあわせて、漆の種類を使い分け、自然の時間の経過にあわせて、作業していきます。
金継ぎ教室、連続開催しておりますので、ご興味あるかたは、見てみてくださいね。
普段はついつい、忙しく動き回ってしまいますが、
たまには1-2時間、自然の時の流れに自分をあわせてみるというのも
とてもリフレッシュになりますよ。