中国式の精進料理『萬福寺』の「普茶料理」を食べてみた!食事から生活を見直す

中国式の精進料理『萬福寺』の「普茶料理」を食べてみた!食事から生活を見直す

精進料理、普茶料理って、なに?

精進料理は、仏教の戒律を守る修行僧の食事で、植物性の食材のみで作られます。

魚肉卵などはNGで、最近はビーガンやベジタリアンの人も増えてきていますし、健康食としても注目されています。

禅宗の朝食の定番、お粥(夫作)

殺生を避けて、煩悩を刺激しないように、と作られてきたものですが、紀元前からの長年の工夫があり、とってもおいしく、食欲をそそる華やかな見た目のものもたくさん。

なかでも「普茶料理」は、江戸時代初期に中国から来た精進料理で、とっても華やか!

これを食べに、職場でお世話になっている皆さんと、萬福寺へ行ってきました。

普茶料理

隠元和尚がもたらした中国文化

お食事をいただく前に、和尚さんから境内の説明を受けるコースを申し込みました

案内していただいた萬福寺は、禅宗の一派、黄檗宗の大本山。

江戸時代初期に、中国では明の時代、隠元和尚がやってきて開きました。

その名の通り「インゲン豆」のほか「すいか」「れんこん」「たけのこ(孟宗竹)」「木魚」など、いろいろと持ち込んで日本の文化に影響を与えたそうです。

木魚の原型「かいぱん」

魚は目をつむらないので、寝ないで修行するすごい生き物。(実際は目をあけたまま寝てるらしいけど)口元のたまは宝玉といって、むさぼりを避け、愚痴らないように、と玉を出しています。

それから、おなじみのフォント「明朝体」も、このころ明からもたらされた文字だそう。教本を印刷技術とともに広めたので、普及したのだとか!

「普茶」とは「あまねく茶をのむ」文化

それまでの日本では、お茶も、食事も、それぞれのお膳に、それぞれの茶碗や箸があって、それぞれの場所で食べていました。

食卓やちゃぶ台に大皿の料理を並べて、煎茶を身分の上下の差なくみんなで飲む文化は、普茶料理でもたらされたものだそうです。

訪問した2023年3月は、まだコロナの影響があって、個々のお皿に盛っていただいていましたが、本来は大皿に盛って取り分けていただくそうですよ。

普茶料理のいろいろなメニュー(菜単)

私たちが訪問したのは3月だったので、桜の花があしらわれたメニューでした。

筝羹(シュンカン)浸菜(シンツァイ)

旬の野菜を煮たり焼いたり。華やかです。

麻腐(マフ)

なめらか〜な胡麻豆腐。禅宗の修行をしてきた夫も習ってきたものだそうで、たまに作ってくれますが、これはやっぱり元祖っぽい美味しさ。

油茲(ユジ)

衣に味がついた天ぷら。こんにゃく、うめぼし、りんごなどもありました。

寿免(スメ)

すまし汁ですが、唐揚げが入ってます。もちろん植物性。

雲片(ウンペン)

葛とじ。いろいろな野菜が入っていて、もったいない精神を感じる。

もどき

かまぼこもどきは、山芋でした。

うなぎの蒲焼もどきも、山芋と豆腐と海苔が材料のはず。過去に作ってみたことがあるのですが、こんなに美味しくはなかなかできませんでした。またやってみたい。

手毬ずしにも、漬けマグロっぽいものが。寒天みたいな何かなのか?わかりませんでした。
生魚、特にマグロが食べられない、妊婦の私には、より一層美味しく感じられました(涙目)

水果(スイゴ)

デザートの果物と甘味。桜風味で、春満喫でした。

一緒にいただいたお茶も、とてもおいしかったです!

さすが、京都宇治!

食事を大切にいただく「五観の偈(ごかんのげ)」

食事の前に読むお経があります。

これもちゃんと、配られました。

うちのお寺も禅寺なので、同じお経がありますが、宗派が違う(曹洞宗)からか、細かなところが少し違うみたい。

でもおそらく、どちらも中国経由で渡ってきたものなので、今回いただいた黄檗宗のものを書いておきます。

「五観の偈(ごかんのげ)」

一つには、功の多少を計り彼の来処を量る
(この食事が、多くの人々や生命に支えられていることに感謝します。)

二つには、己が徳行の全闕と忖って供に応ず
(自らの行いがきちんとしているかどうかを反省して、食事をいただきます。)

三つには、心を防ぎ過貪等を離るるを宗とす
(食事の量や内容にかかわらず、正しい心で残さずいただきます。)

四つには、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり
(食事は身と心の健康を保つための、一番の薬です。)

五つには、道業を成ぜんが為に應にこの食を受くべし
(自分の仏道修行、目標、責務を成し遂げるための食事です。)

毎日とる食事

何気なく食べてしまっていることも多いのでは?

丁寧に作られた美味しいお食事をいただいて

日々の生活を見直す良い機会になりました。

ありがとうございました!

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