ものがうまれる土地の力2 もくじきさんがここにも!木喰観音堂 ー手わざ大好き
- 2019.06.07
- 和文化・手作りの楽しみ
美しい早苗の季節。水をはったキラキラの田んぼに、まぶしい日差し。
もうすぐ梅雨入りかな…日本の初夏はとっても美しいと思う。
5月末、CreatorDaysNANTANという、普段はクローズの工房をオープンにする試みに参加し
タイの服飾アーティストSermSukritKaewdamさんの特別展がありました。
CreatorDaysNANTANを終えて、タイの服飾アーティストを迎えて
GW明けのシリーズブログにしようと思ったのに、いろいろなことがあり一ヶ月経ってしまいました…!
CreatorDaysNANTAN チラシ作成させてもらいながら、改めてものづくりのまちだなあと
タイの服飾アーティストSermさんの展示「Be Natural Project Exibition『Natural Touch』」
(6/8まで会期延長中)
家族で綿の栽培から、染織、機織り、縫製まで行っているというから驚き。
優しい素材と美しいラインに惚れ惚れします。
故郷の写真は、日本の田舎と似ているけどちょっと違って…
毎日のようにタイ料理を作ってくれました。辛さと甘さとハーブの香り…
自分のお店なのに、ちょっと海外旅行みたいで、とても楽しかった。
そして、外国のものをみると、日本のよさも改めて思い返します。
日本の田舎を歩いた「もくじきさん」
見るたびに、ほっこりしたり、元気をもらったり。まさに「民芸」だなあと思うお気に入りの作品のひとつに「もくじきさん」があります。
蔭凉寺のもくじきさん
およそ二百数十年前
日本の田舎ばかり歩いて、千体以上の木製仏像彫刻をのこしていった、伝説的な僧侶。
彼自身のことも「もくじきさん」というし、彼の彫った仏像も「もくじきさん」という。
(本人のことは「木喰明満上人」、仏像は「木喰仏」という呼び方もします)
五穀を断つ木喰戒という厳しい修行をしながら、北海道から鹿児島まで、徒歩で全国をめぐり、90歳になっても凄いスピードで仏像を彫りまくるという、だいぶ奇特なストーリーが残っている人物です。
あまりに庶民の生活の中にあって見出されてなかったものを、民芸運動の中心になった柳宗悦が光をあてたといわれています。
とある地方のもくじきさんは、子どものおもちゃになっていたという逸話もあるくらい。
晩年の傑作といわれるものが、わざどころPON近くのお寺と民家に保存されています。
うれしいときも、かなしいときも、いつも笑顔で、不思議と力をくれる
(拝んでガチ泣きしたことあります笑)
これは、90歳ごろに彫られたもくじきさんのある「清源寺」のオリジナル御朱印
本物は撮影禁止なので、実際に行って見てみてくださいねー
抱っこされてまわる、木喰観音堂の「もくじきさん」
そんな「もくじきさん」が日本でいちばん沢山(三百体近く!)残っているのは新潟県。
新潟県小千谷市小栗山の、木喰観音堂にある、三十三観音像を拝みにいきました。
まーさすがに山奥だった!笑
めっちゃ綺麗な新緑に包まれたお堂で、思わず深呼吸したくなる場所。
地元の観光協会に参拝希望の電話を入れたら「地域の人にあけてもらえるかききますね」というローカルさ。
いかにも地元のおじいちゃん数名が、あたたかく待っていてくれました。
説明をしてもらった後、まさかの、「持ってみるかい?」と、参拝客にだっこされてまわる、もくじきさん。
ここまで親しみを持たれて、まわりの人達を笑顔にしていく文化財ってすごい。
柳宗悦の額も一緒に拝んで
うちの近くの和菓子屋さん「森彦菓舗」の「もくじきせんべい」をおみやげにお渡ししました。
ものが生まれる土地のちから
芸術の面白さを広める仕事がしたい、とおもい、学芸員の資格をとったかなこ。
でも、美術館のなかで広めるより、美術館以前の、もっと暮らしに寄り添った芸術の機会をつくりたいと、模索して今の「地域のわざどころ」をつくるに至っています。
新潟まで参拝しにいって、オープンファクトリーの企画をして、タイの布文化にふれて…
それぞれの、ものがうまれる土地のちからを、いっぱい感じた5月でした
日に日に成長していく、田んぼの苗を見ていると、静かな土や小さな籾からは想像できないくらいのパワーがあって、圧倒されます。
そのパワーが、仏像だったり、服だったり、やきものだったり…形を変えてあらわれてくるのが、
芸術って、民芸って面白いなあと思うところです。
来月、梅干しの土用干しを、もくじきさんと一緒にさせてもらえることになりました。
梅干しと一緒に、お寺でお昼寝…超のんびりな、たのしみ企画です。
7月21日、蔭凉寺にて。
おひさまいっぱい浴びて美味しくなるといいな!