選択肢として、工芸を紹介したい
- 2018.04.26
- 和文化・手作りの楽しみ
世界一有名な「かなこ」を目指すにあたって、
健康に目を向け、ほったらかしだった美容にも興味を持ち、近所の商店街の化粧品やさんに行ってみました。
地域密着型のお店らしく、同じ商店街のお菓子の用意があり、肌診断から丁寧に、スキンケアからポイントメイクまで一通り体験。
ドラッグストアかコンビニでしか化粧品を買ったことがなかった私は、化粧のカウンセリングという新しい世界に大変感動しました。
お店紹介もしたいところなんですが、それは今度じっくりするとして…
「考えの選択肢に入れる」ことって、大事だと思ったんです。
見たことがない世界
私の知っている化粧品を買う所といえば、ドラッグストアかコンビニかデパートでした。
生まれ育ったのは都会で、自宅からの徒歩圏内に、デパートはあっても、商店街の化粧品屋さんという選択肢はなく、見たこともありませんでした。
アラサー間近、27歳にして、その選択肢をはじめて知りました。
でも逆に小学生のころから、デパートの化粧品売り場にいる人達の様子とかは知っていたし、
街を歩くOLや大学生がどんな人種かもなんとなくわかっていました。
田舎は大学進学率が低いという話題をたまに耳にしますが、決して学力が低いからとかではなくて、
大学生に出会う率がそもそも低くて、大学に行くという選択肢が、そもそも頭にない場合が多いのではないかと思います。
見たことがない、知らない世界は、選択肢に入らないのです。
コーヒー屋は見たことがある
実家からは、自転車で行ける距離に美術館がいくつかあり、たまたま美術を学ぶ予備校もあったので、
地元の超絶荒れているいわゆる底辺中学校に通いながらも、芸術大学に行くという選択肢は普通に出てきました。
デザイナーになって、地域のものづくりを紹介するギャラリーショップをしたいという気持ちも、わりと自然に出てきたことです。
それがゆえ、片田舎で地域のものづくりを紹介するギャラリーショップをやりはじめて、
コーヒーは置いてないのかと、かなり頻繁にきかれることに、最初はかなり驚きました。
でも今はなぜかわかります。
喫茶店に、手づくり雑貨が置いてあるのは見たことがあるけれど、
ギャラリーショップや地域のアンテナショップというものになじみがない、ということです。
コーヒーを置く工芸屋
結果、コーヒーは置いてないのかというお客様の声を反映しました。
使ってみたい「地域の作家が作ったうつわ」を選んでくださいという条件のもと。
そもそもギャラリーショップというものになじみがなかったら、作家が作ったうつわもおそらく見たことがないかたも多いと思ったのです。
良い悪いではなくて、そういうもの。
例えば私にとって農業や林業は全然身近なものではなかったし、大学時代の友人で仕送りに野菜が届くのも、
親御さんはなんでわざわざ野菜買って送ってるのかと最初は本気で思っていました。(気づいた時は結構うらやましかった)
今日も、コーヒーある?と近所のおばちゃんたちがやってきて、作家さんのうつわ体験をしていってくださいました。
おばちゃん達にとっては、ちょっとズレたカフェという認識なのかもしれないけれど。
近くにこんな作品を作る作家さんがいたのね!と興味深く見ていってくださるのが嬉しいです。
選択肢として、工芸を紹介したい
たとえばいつも使っている茶碗が割れたから、百円均一ショップに買いに行くという選択肢も、当然あっていいと思うんです。
でもそこに、工芸作家てづくりの、お気に入りのうつわを使うという、選択肢が存在するということを、認識する人を増やしたい。
茶碗一つ、箸一膳にしても、毎日の暮らしが、嬉しくなります。
うっかり割ることも少なくなります。
ものを大切にしようと、いちいち言わなくても、子どもにも伝わるんじゃないかな。
実際、来店されたお客様についてきた子どもさんにも概ね、なにかきれいなものが大切に並んでいる店、ということは伝わっているようです。
時間はかかっても、じわじわと浸透していきますように…。
明日も、ちょっとズレたカフェのようなふりをして、まじめに、工芸品、手づくり品の素敵なところを、少しずつ伝えていきたいと思います。
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